大判例

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東京高等裁判所 昭和63年(ラ)811号 決定

民法九七六条二項、家事審判法九条一項甲類三三号の規定による遺言確認審判は、いわゆる危急時遺言が遺言者の真意に基づくものであることを確認することにより、その成立を確定することを目的とするものであるが、これによって当該遺言が有効であることまでも確定するものではなく、利害関係人は、右審判が確定したのちにおいても、民事訴訟により当該遺言の効力を争うことができる。このような右審判の性質と、家事審判規則一二一条が右審判につき利害関係人に即時抗告権を付与している一方において、これに対する審判の告知については法令上の保障がなく、同規則一七条は、利害関係人が告知を受けないときでも、即時抗告期間は事件の申立人が告知を受けた時から進行するものと定めて審判の効力の早期かつ画一的な確定を図っている趣旨とに照らすときは、抗告人が即時抗告期間の経過前に原審判の存在を知らなかったことについて抗告人主張のような事情があったとしても、これをもって抗告申立の追完の事由とすることはできないものというべきである。

(丹野 加茂 河合)

抗告の理由

1 申立人は遺言者亡程原喜久乃の兄で推定相続人であり、同人の遺言について利害関係を有するものである。

2 申立人は、東京家裁昭和六三年(家)第一〇七三六号遺言検認事件について、その検認期日の通知を受け、昭和六三年一一月七日出頭し、同期日に立会った。その際申立人は、亡程原喜久乃が昭和六三年六月一七日に危急時の遺言をなし、その遺言については当初標記の確認審判事件として昭和六三年八月一九日確認の審判がなされていることを知った。申立人はそれまで亡程原喜久乃が危急時の遺言をなしたこと並びにその確認手続がとられたことについて、相手方房村るり子からも、また誰からも知らされなかった。

3 前記遺言確認の審判は、同事件の申立人に告知され、今日においてはその告知の時から二週間以上経過していることは明らかである。したがって通常の抗告期間を経過しているものであるが、申立人は前記の事情で危急時遺言並びに確認審判の事実を、遺言検認の審判期日まで知らなかったものであり、それにつき申立人の責に帰すべき事由は存在しないのである。

以上のとおり申立人は昭和六三年一一月七日に、前記遺言の確認の審判がなされていることを知ったものであるから即時抗告権を失っていないものである(非訟事件手続法二二条)。

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